2026 年 65 巻 1 号 p. 37-43
拡散方程式に基づいて動的な表面張力の変化を推定するモデルを構築し,数値計算と検証を実施した.モデル構築については一次元方向への表面積拡大を想定し,それに伴う深さ方向の移流発生と,表面とバルク溶液間の物質移動を考慮したモデルを検討した.溶質の表面濃度とバルク溶液中濃度の関係性についてはLangmuir型の挙動を想定した.モデルに基いた数値計算は差分法によって実施し,数値計算に必要なパラメータは静的な表面張力測定の結果から取得した.今回検討したモデルの妥当性確認として,最大泡圧法による動的表面張力測定を模した系で計算を行い,実測結果との比較を行ったところ,動的な表面張力変化が観察されるLifetime領域は良い一致を示した.更に,溶質としてインクジェットインクに用いられる界面活性剤と浸透剤を想定した条件での計算を行った結果,表面張力変化が観察されるLifetime領域が大きく異なることを確認した.パラメータを変化させて行った検討からは,溶質濃度の違いが支配的な影響因子であることの示唆が得られた.