電子写真学会誌
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染料転写型感熱記録方式の検討VI
—像記録の光褐色防止についての考察—
草川 英昭円満字 公衛
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1993 年 32 巻 1 号 p. 3-6

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抄録

市販のG-IIタイプファクシミリ用感熱記録紙並みに高感度化された染料転写型インクは分散染料SOT-Blue 2, Red 2G, Yellow 5をそれぞれ結合剤ポリマーに分散させてえられるが,これらのインクで作られた画像の光堅牢度を測定したところ,Blue 2がクラス3,Yellow 5がクラス4,Red 2Gがクラス5であった.これらの値は,カラー写真の5に比しても低く,特にBlue 2の褐色防止の検討が必要であった.
染料の光槌色防止には電子受容体の添加による電荷移動錯体,あるいはシクロデキストリンの添加による包接化合物の形成が知られている.記録媒体が無極性のPMMAのときには電子受容体の添加によっての電荷移動錯体形成が起こらず,堅牢度の改善が観られなかった.記録媒体がPVAの場合は染料,電子受容体のいずれもが樹脂中に溶けず,粒子状に分散されているため,電子受容体が50パーセントという大量の添加が必要であった.包接化合物の形成は染料分子が大きすぎシクロデキストリンによる包接が十分でなく堅牢度は改善できなかった.

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© 1993 一般社団法人 日本画像学会
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