1993 年 32 巻 4 号 p. 372-380
本論文は電子写真の転写・分離工程において,コロナ電流電布がトナー像の印字品質に及ぼす影響について研究したものである。著者は感光体ドラム上のコロナ電流分布を測定し,数値計算により感光体ドラムと用紙間の空隙層の電界の変化を求めた。その結果,この工程の画質について次のような特性を明らかにすることができた。
I) 画質は分離帯電器のコロナ電流のみならず転写帯電器のコロナ電流自身にも影響を受ける。
II) 転写・分離工程にコロナ帯電法を利用する限り,用紙剥離の高信頼と画質の高品位を同時に達成することはできない。なぜならそれぞれの場合の最適コロナ電流値が異なるからである。
そこでこれらを検証するため,A1サイズ・レーザープリンタを用いて実験したところ,上述の解析した結果と一致することが分かった。