1996 年 35 巻 4 号 p. 315-324
レーザ熱転写記録方式はサーマルヘッドの代わりに集光されたレーザ光を熱源として用いるもので, レーザ光の高集束性を利用した微細なドットの記録が可能である.
本研究では,昇華型レーザ熱転写のドット形成プロセスを明らかにする目的で,記録時の媒体の形状変化および温度変化に着目して実験・解析を行った.まず,原子問力顕微鏡を用いてインクシートおよび受像紙のミクロ的表面形状変化を測定することにより,ドット形成時には両者が膨張し,接触して押し合いをする挙動を明らかにした.また,レーザパルス照射時の温度分布の数値計算を行い,実験結果と比較することによって,媒体の膨張や転写開始の現象が熱応答特性により説明できることを示した.さらに,転写開始に関連するインク層下面の温度変化を簡単な2次遅れ系モデルを用いて解析し,短パルス照射時の応答特性を明らかにした.