1997 年 36 巻 1 号 p. 11-17
レーザ熱転写記録方式はサーマルヘッドの代わりに集光されたレーザ光を熱源として用いるもので,レーザ光の高集束性を利用した微細なドットが形成できる.本研究では,高解像度化と濃度階調表現の両立が可能な染料昇華型の記録特性および記録過程について検討を行っている.
本報では,階調再現特性を支配する染料の転写機構の解明を目的として実験および解析を行った.階調特性はインク層の膜厚の増加に従ってガンマの大きな特性を示す.また,インク層を膜厚方向に色分けした2色積層型インクシートを試作し,インク層内部からの染料転写が多いことを確認した.これらの実験結果をもとに染料転写プロセスを簡単なモデルで表現し,シミュレーションを行うことにより,階調特性のインク膜厚依存性を説明した.