抄録
伝統医学的経穴刺激がVDT(Visual display terminal)作業により生じた眼の疲労に与える影響についてcritical fusion frequency(CFF)による評価を試みた。被験者の1日のVDT作業時間は約1時間のグループと約7時間の者であった。その結果、CFFは刺激開始の比較的初期の段階である4分後と8分後において、統計的有意に、刺激がある場合の方が大きくなった(眼の疲労が回復した)。全体的傾向として、経穴刺激がある場合はない場合に較べCFFの回復(眼の疲労の回復)時間が短縮したが、短縮時間の割合は刺激時間に依存した。また、眼の疲労の回復率は刺激の初期段階である4分で最も大きく、その後漸減する傾向が見られた。長時間VDT作業者の場合は、VDT作業実験(8分)によるCFFの低下が小さく、経穴刺激によりCFFの最後値は初期値よりもかなり上昇した。日常の仕事においてVDT作業のあるなしに拘わらず経穴刺激を行うことは眼の疲労の予防医学上、十分価値があると思われる。