抄録
通常の感覚伝達を遮断し、武道熟達者の一方から他方へ送気を試みる無作為・盲検実験において、受信側被験者のα帯域の脳波を周波数空間に変換し、2電極間の相関の指標であるコヒーレンス関数を求めた。解析に供した電極対はC_3:C_4,Fz:Pz,O_1:O_2で、状況の異なるデータ群間での有意差の有無を、順位和検定およびWdchの検定により検証した。また、送信時間帯と非送信時間帯で顕著な有意差が見られたと報告したα波平均振幅について順位和検定した。送信中と閉眼安静時でO_1:O_2のコヒーレンス関数が同じ分布である確率は、順位和検定、Wdchの検定ともに5%有意水準以下であった。また、α波平均振幅の順位和検定でもC_4極で05%有意となった。いずれも、順位和検定の結果とWelchの検定による結果は、ほぼ一致した。