2004 年 22 巻 2 号 p. 392-398
サンスクリット語で「再結合」という意味のヨーガには、近年、多彩な生理学的効果があることが明らかになってきている。われわれは、ヨーガの行を数年以上経験しているインストラクターで、行の最中と前後の脳波と細胞性免疫能の変化と相関性の有無について検討した。その結果、プラーナーヤーマ(呼吸法)におけるα波の出現率の増加とNK活性の上昇との間には正の相関が、同じくα波の出現率の増加とT細胞系リンパ球の増加との間にも正の相関が見出された。これらは、ストレス負荷を伴わないような精神の集中が、NK細胞やT細胞系の機能を短時間のうちに増強させることを示唆している。なお、B細胞系リンパ球の増加との間には、負の相関が見出された。ストレス社会に生きる現代人は、ヨーガの行により心身の調和を取り戻せる可能性は高いと思われる。ヨーガの意味である「再結合」は、人間が本来持つ調和のための潜在能力の再活性化を表現していることが考えられた。