理論と動態
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<自由投稿論文>
肯定的自己定義と連帯
──フィリピン・ケソン市の住民運動を事例として──
笠井 賢紀
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2009 年 2 巻 p. 108-125

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抄録

  本稿の目的は「貧困層」と呼ばれる人々がどのように連帯できるのかということを、具体的事例から明らかにすることである。本稿は、貧困層の所得などの客観的指標ではなく、貧困状況をスティグマと捉える内面に焦点を当てる。そのスティグマを乗り越え「貧困層」という表象とは異なる肯定的な自己定義を行うことで、連帯が可能であるか、という問いに対してフィリピン・ケソン市の具体的事例を紹介することで答える。事例として、タタロン地区の土地所有権抗争とタラヤン・バランガイの廃棄物回収を挙げる。共通の敵や不満を打倒するための運動で作り上げられた連帯は、運動の過程で瓦解しやすく、他の人々との協働への道が開かれていない。一方で、そのような強い目的を持たない緩やかな繋がりは、持続的な連帯をもたらし、事例で示されたように貧困状況の改善のために日常生活の上で積極的に取り組むための強さを生む。

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© 2009 定非営利活動法人 社会理論・動態研究所
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