ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
マラウイの中等学校における孤児の就学を支える仕組み
NGOによる支援と学校の取組みに着目して
日下部 光
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 16 巻 p. 91-104

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抄録

 本研究は、サブサハラ・アフリカ(以下、アフリカ)における就学支援を含めた孤児支援の動向を踏まえ、マラウイの中等教育における孤児の就学状況を分析し、孤児の就学を支える仕組みについて考察を深める。マラウイにおいてNGOや政府の就学支援プログラムは、孤児の就学を支える仕組みの重要な部分を担う。特に、NGOによる就学支援は、活発に展開されており、孤児のエンパワーメントや中等教育修了後の支援に重点が置かれ、コミュニティ開発の一環として位置付けられている。これらの支援を通して、NGO関係者と孤児の関係性が構築されており、孤児の日常生活における安心感をもたらしている。しかし一方で、NGOの支援は、対象のコミュニティに限定した支援や女子優先等のアプローチであるため、学校レベルにおいては、就学支援の機会の平等が確保できず、孤児間の格差が生じている。そのため、学校は孤児間の格差を軽減するための取組みを行っている。孤児の就学を支える仕組みの中で、支援提供者が支援を実施する際には、支援団体間の調整による選考基準の調和化やアカウンタビリティーの確保など検討すべき課題がある。

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2016 国際ボランティア学会
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