抄録
マイクロファイナンス・プログラムの目的は、貧困を緩和することである。このプログラムは、低利融資により所得の向上に寄与する起業の補助や、非金融サービスを提供している。プログラムの実効性は、プログラム実行機関が融資対象者・地域を熟知していること、及び融資対象者・地域の機関に対する信頼の大きさに大きく影響される。この意味で、対象者・地域に密着した形のNGOは、他の機関より大きな役割を果たすと考えられる。
本稿は、以上を明らかにするために、インド・タミルナードゥ州プリカットで活動するNGO(I.F.D.P)の、マイクロファイナンス・プログラムを通じた地域の貧困緩和に果たす役割を検討した。本稿により歴史的背景と様々なプログラムの成果から、I.F.D.Pが信頼を得ていること、スタッフが地域住民で構成されているため、地域を熟知していると共に、地域住民からモニタリングされ、NGO特有のアカウンタビリティ問題を回避できている可能性があることが示される。この二つによりI.F.D.Pが「自助」の育成を可能にしている点は、今後のマイクロファイナンス・プログラムの実行の一助となりうる。