抄録
スーパーハイビジョン方式において,フル解像度となる3,300万画素を有する,対角145インチプラズマディスプレイを試作した.従来の1/4にまで微細化される発光素子の形状均一性の維持と,通常の屋内照明下でも充分なパネル輝度を得るための発光部の開口率の確保を目的に,素子を形作る隔壁部の材料と製作プロセスを最適化した.併せて,容量性負荷に起因して発生する隣接発光素子間の発光干渉(クロストーク)を低減する電極形状の条件をパネル設計に反映させ,微細化された画素構造においても駆動電圧の上昇を10 V程度に抑制した.コントラスト比評価による視野角は,120゚(片側60゚)まで一定に維持され,大画面パネルの画面全体にわたって均一な発光特性を得ることに成功した.また,走査線数4,000本を超える大画面パネルの駆動安定化技術として,視覚特性を巧みに利用するマルチライン同時走査方式を適用し,動画表示特性に優れた自発光・直視型ディスプレイによるフル解像度のスーパーハイビジョン映像表示を実現した.