映像情報メディア学会誌
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特集論文
ダイクロイックフィルタを用いる薄型・高輝度バックライト用蛍光体フィルム開発
山菅 雄大堀 智充伊藤 靖
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2023 年 77 巻 6 号 p. 781-787

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抄録

近年,市場で存在感を増すOLEDに対抗するため,LCDは直下型バックライトユニットにmini-LEDとLEDの部分駆動を適用することにより薄型化,高コントラスト化を実現している.本稿で紹介する蛍光体フィルムは,mini-LEDと部分駆動を適用したLCD用途に開発された.蛍光体として緑色発光蛍光体SrGa2S4:Eu・赤色発光蛍光体K2SiF6:Mnを採用し,そして青色を透過し緑・赤色を反射するダイクロイックフィルタを基材として採用した.蛍光体フィルムにダイクロイックフィルタを付与することにより,部分駆動時に発生するLED ON部とOFF部間の色度ムラを低減すると同時に,高輝度化を実現した.ディスプレイ発光面の色度の均質性向上のためにSrGa2S4:Euを小粒子化する必要があった.しかし,蛍光体粉砕時の表面損傷や比表面積の増加の観点から,小粒子化と長期信頼性はトレードオフの関係にあった.この課題に対し,蛍光体への表面皮膜と不活性雰囲気下のアニールにより,小粒子化と長期信頼性の両立に成功した.

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© 2023 一般社団法人 映像情報メディア学会
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