2023 年 77 巻 6 号 p. 795-800
革新的製品を生んだベンチャー企業は,大手企業の模倣的参入を受けることがある. 一見して不利な競争ではあるものの,大手企業独自の資源が動員されることで,製品の正当化は促進されることがある.これは「サメと泳ぐ」ジレンマと呼ばれるような,緊張感を伴いながらベンチャー企業が大手企業の資源を活用する関係性が,連携関係だけでなく模倣・被模倣の関係においても成立し,そうした状況で大手企業の資源を活用することで,イノベーションの普及と成功の可能性を高められることを示唆している.