抄録
あらまし灰色の地に白図形 (正極性) がある場合と黒図形 (負極性) がある場合とでは, 地の明るさが異って見える.このような図形の極性による見え方に対応した視覚の空間周波数特性を, 心理物理的に測定した.その結果, 高コントラストの条件では正極性の空間周波数特性は低周波の感度が高周波の感度に比べて低下するのに対し, 負極性の特性は低周波の感度が高周波の感度よりも高くなった.一方, 低コントラストの条件では正, 負の極性による特性の差は小さく, いずれも低周波の方が高周波よりも感度が低くなった.得られた結果と一定コントラストに見える条件の視覚の空間周波数特性との関係や, 文字の見え方との関係についても検討した.