テレビジョン学会誌
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斜方蒸着と電界印加冷却による強誘電性液晶セルの分子配向制御
桑原 道夫女川 博義宮下 和雄
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1988 年 42 巻 10 号 p. 1042-1050_1

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抄録

酸化イットリウムや酸化サマリウムなどの斜方蒸着膜上で強誘電性液晶 (FLC) は垂直配向するが, 光学応答は得られない.ただし, 常誘電異方性が負で, コレステリックやスメクチックA相を経てカイラル・スメクチック相に転移するFLCであれば, 冷却中に一定の電界を加えると液晶分子が平行配向に近づくと期待される.そこで, 斜方蒸着と電界印加冷却を組合せれば, 電極外部が垂直配向を保ち光学応答を示すセルができると考えた.実験では液晶にCS-1011を使い, 基板には酸化イットリウムを40°~80°蒸着した, 冷却中に最大強度20MV/mの直流電界または0.1Hz~1kHzの対称方形波電界を加えた.さらに, 顕微鏡観察と静電容量および自発分極の測定によって冷却中の配向変化や電界による配向効果を調べた.これらの結果, 電極上の液晶分子は最大で約50°傾斜し, スメクチック層が電極面に対して40°~50°まで傾いたことがわかった.また, セルの電気光学応答も得られた.

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