1989 年 43 巻 9 号 p. 967-974
VTRでは, ヘッド/テープ系から発生するノイズ (ヘッド/テープ系ノイズ) がビデオ画像のSN比 (ビデオS/N) を決定する大きな要因になっている.そこで筆者らは, ヘッド/テープ系ノイズのスペクトラムが, 再生増幅器やリミッタを通過することによって受ける影響について, フーリエ変換の手法を用い理論的に解析した.
その結果, 信号とノイズの干渉成分を考えることにより, リミッタ出力におけるノイズスペクトラムをよく説明できることがわかった.また, リミッタ入力の段階でノイズ成分の周波数帯域を制限することにより, 他の周波数帯域から混入するノイズ成分を除去し, 最終的にビデオS/Nを決定するリミッタ出力の搬送波信号とノイズレベルの比 (リミッタC/N) を大幅に向上できることなどを, 理論と実験の両面から示すことができた.