テレビジョン学会誌
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MOS-FETを使用した1ユニット10kW中波放送機の開発
村山 好行石井 真中 尚小野 功立野 修二門脇 正之島田 博樹生岩 量久
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1989 年 43 巻 9 号 p. 975-981

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抄録

既開発の出力10kW中波帯電力増幅器に対応するMOS-FET式変調増幅ユニットを開発・試作し, 出力10kWを有する放送機システムを完成させた.この新しい変調増幅器の設計では, 高電圧・低電流型の動作設計 (高インピーダンス負荷), 電力損失を高めるための最適設計, および, 部分的温度上昇を防ぐ適切な放熱設計などの考え方を基本にして, MOS-FETを初めとする各種部品および部品定数の選定を行った.その結果, 良好な入出力電力の直線性が得られ, 安定に11.2kW以上の大電力を得ることができた.
試作変調増幅器ユニットは, 大きさが230×530×700mm3, 重量が21kgであり, 強制空冷 (風速 : 10m/s) によって, 放送機出力電力10kW時の温度上昇は, MOS-FETのケース表面で9℃, LPF部コイルの表面で23℃であった.10kW放送機としての総合特性においては, 総合効率は82%以上, ひずみ率は2%, 信号対雑音比は52dB以上であった.

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