抄録
Pt添加によるTbFeCo磁性薄膜の短波長域における高密度光磁気記録への可能性を検討するために、TbFeCo(Pt)/Pt多層膜を作製した。特にPt層の厚さt_<Pt>に着目し、それが磁気及び磁気光学特性に与える影響を系統的に調べた。その結果、垂直磁気異方性定数K_uはPt層の厚さとともに一定量まで増加する(〜2.5×10^6 erg/cm^3)ことが分かった。また、Pt層によるKerr回転角θ_Kの増加は紫外領域(>3eV)で顕著であり、そのピーク位置は約5eVであることが明らかになった。Kerr回転角θ_K及び楕円率η_Kのスペクトル変化の絶対値はともにPt層の厚さにしたがって増加するが、その増加はt<Pt>=12Åまでにとどまる。この結果は、TbFeCo層に挟まれたPt層の12Å、すなわち界面から約6ÅまでのPt原子がKerr効果のエンハンスメントに寄与することを示唆する。