抄録
視覚系のコントラスト感度関数(Contrast Sensitivity Function, CSF)はパターン認識メカニズムの基本的特性であり、画質評価に重要な影響を与えると考えられている。我々は客観的画質評価値ピークSNR(PSNR)が、主観的画質評価と必ずしも一致しない結果を得た。さらに、人間の空間周波数特性を考慮した客観的画質評価法を検討したが、1種類のCSFしか用いなかった。主観的画質評価の結果には大きな個人差が見られたが、CSFの個人差との関係については検討していない。そこで本研究はCSFの個人差を調べ、主観的画質評価値の個人差との関係を検討することを目的とする。16名の測定例中、特に相違の大きい3人のCSFを考慮した客観的画質評価値と、主観的画質評価における個人差との関係を調べたところ、後者はCSFの相違だけでは説明できないことが示された。