抄録
近年, 移動体通信の発達は著しいものがある. しかし市街地においては, 携帯電話やPHSは基地局の見通し外で使われることが多い. そのため, ビルが林立する市街地における電波伝搬経路を推定することは重要であり, 従来多くの研究成果が報告されている. 本稿では、単独のビルについて, ビル屋上及び側面を経由して反対側の観測点に到達する電波の電界強度について考察している. 解析にはGTDを用い、数値計算により電波伝搬への影響を示した. その結果, ビル側面を経由する回折波の影響は大きく, その様子は垂直・水平偏波ともに大きな差がないことが分かった.