抄録
本研究は、「観察者は身体表現からどのようにして感性情報を認知しているのか」という問題を、印象評価分析と視線分析という二つのアプローチにより明らかにしようと試みたものである。運動の型を説明変数、感性情報を目的変数とした重回帰分析の結果、いずれも説明率の高い計量モデルが導出された。印象評価分析より、身体が独立した感性メディアであるということが確かめられた。視線分析の結果、観察者は個々の身体部位ではなく、身体周辺の空間部分を注目する傾向が見られた。二つの分析により、身体表現からの感性情報の認知には、ボトムアップ処理とトップダウン処理の両方が関与していることが示唆された。