抄録
大規模災害発生時には,地物の変化情報の迅速な把握による被害調査が要求される.これまで,異なる時期に撮影された空撮画像あるいは衛星画像を比較する独自の非線形写像法を提案し,比較する画像間に平行移動の位置ずれや軽度の非線形歪みが含まれる場合における高精度の変化域抽出を実現してきた[1]-[5].本論文では,従来の非線形写像法をもとに,画像間に回転位置ずれや非線形歪みが含まれる場合であっても安定した変化域抽出を実現できる方法について検討した.提案法における多段階探索は,探索を効率化し,パラメータ設定を容易にする.さらに,移動ベクトルを選択的に近傍の移動ベクトルに置き換える選択的協調により,正しい移動ベクトルが得られる.提案法によって得た変化画像のROC (Receiver Operating Characteristic)法[6]による評価から,従来法と比べて安定した変化域抽出を実現できることを示す.