抄録
本研究では,事象関連電位(event-related potential:ERP)に見られる顔認知処理に与える色情報の影響と,発達的側面を検討するために,成人と乳児を対象に,自然な色の顔とそうではない青色の顔での知覚の神経相関を調べた.その結果,顔処理に深い関係があるERP(成人に見られるN170,乳児で見られるN290成分)が,成人(10人,平均年齢25.4歳)と乳児(14人,平均日齢245日)共に,青色の顔に対してより高振幅を示し,色情報が顔認知処理に影響を与えることと,色情報を含めた顔認知処理が乳児ですでに行われていることを示唆する結果を得た.