液晶パネル産業で、日本、台湾、韓国の各企業が激しい競争を繰り広げる一方、液晶部材では、日本企業のプレゼンスが圧倒的に高い。本稿は、この液晶部材取引におけるサプライチェーンの実態を明らかにすることを目的とする。液晶部材取引では部品商社が介在し、液晶パネル生産におけるオペレーション上の部材の品揃えや安定供給に大きな役割を果たしているケースが多くみられる。つまり液晶部材取引は、部材メーカーとパネルメーカーの直接取引関係と商社が介在する取引の2つに分類できるが、本稿は、一般的に部品商社と呼ばれる生産財商社を介在した供給連鎖のありようを具体的に検討し、商社を軸とした部材メーカー、商社、パネルメーカーにおける取引関係が部材の安定供給・調達にどのような影響を与えたのか考察する。