抄録
ISO-PC159国内対策委員会では、裸眼立体ディスプレイの評価方法として、立体視の可能なユーザーの観察位置である立体視域を二つのレベル、即ち、立体画像による疲労を受けない立体視域QBVS(Qualified Binocular Viewing Space)と、立体画質が良好な立体視域QSVS(Qualified Stereoscopic Viewing Space)に分けて、それぞれの広さを計測することを提案している。このQBVSとQSVSの境界を決める重要な物理的要因の一つとして、(1)左右それぞれの視認空間から見える画像における左右視差画像の混在の程度を示す3Dクロストーク(3D Crosstalk)と、(2)左右それぞれの視認空間から見える視差画像の輝度差(Interocular difference of Luminance)が考えられる。ここでは、これらの要因がその大きさにより立体画像の画質に対しどのような影響を及ぼすかについて知見を得るために、画像データ処理により擬似的に作成した3Dクロストークと両眼輝度差のある視差画像を、実際に2眼式の裸眼立体ディスプレイに表示し、立体画像の画質に対しどのような影響を及ぼすかについて主観評価実験により検討した。