バイオ分子の同定による検査・診断装置や,生体分子と半導体集積回路とを融合した新機能素子の実現には,分子からの信号を検出するセンサ回路の高精度化・高密度化・低消費電力化が課題となる.従来の電気化学計測回路は,オフチップのオペアンプにより構成されており,そのままオンチップ回路として用いるのは適切ではない.ここでは新たに考案した,電位測定のためのCMOS source-drain followerと電位固定電流測定のためのCMOS source-measure unitについて報告する.その特徴は,1.測定対象に影響を与えない,2.標準CMOSプロセスで製造可能,3.サブスレッショルド領域で動作し低消費電力,4.素子数が少く専有面積が小さい,5.高い精度と高いダイナミック・レンジ,6.温度や素子ばらつきの影響が小さい,ことである.これらの回路を用いた実際のバイオセンシング実験結果についても報告する.