離散コサイン変換(DCT)の要素である回転変換をリフティング構成した場合、乗算係数が回転角度に対して特異点を持つ。従って、回転角度によっては係数が特異点に近づき、非常に大きな値となる。結果、有限語長演算により生じる丸め誤差が、DCT内部において乗算を経る毎に増幅される。本報告では、この特異点を回避するために、回転変換の入出力信号に、信号置換と符号置換を作用させる。これにより、特異点の位置を±π/2あるいはπだけシフトできる。この際、一つの回転変換に対し、複数の構成法が候補として挙げられる。従って、DCT全体として誤差が最小となる組合せが存在する。本報告では、この最適な組合せを、置換の群構造を利用することで、網羅的かつ効率的に決定する。また、Chen型DCTを例に、誤差分散を低減出来ることを実験的に確認する。