抄録
本研究では、感性工学の観点から,音楽が人間とどう関連しているのかを分析する.人間が音のどのような特徴に注意を向けているのか,また,人間がどう音を解釈しているのかを分析する.方法として,人間が音に対して行っている信号処理を4つの段階に分割する.生理的レベルでは,聴覚特性によって処理をする.このレベルでは,人間はまだイメージによって音を解釈していないので,音に関する主観性が存在していない.聴覚特性を用いることによって,音楽が分析される際の特徴量を明らかにする.聴覚神経系の初期段階の処理は,信号を周波数帯域と時間間隔で分割し,その変化量をコントラスト計算によって抽出している.認知レベルでは,人間が主観的に行っている解釈を,イメージ語と特徴量との相関関係を分析している.このモデルによって,イメージに対する類似性を持った音楽を検索する方法を開発する.