地上ディジタルテレビ放送のSFN(Single Frequency Network)環境下において,長い遅延時間をもち,かつ,希望波レベルに近い遅延波(複数)が到来した場合でも受信側でひずみ等化が可能な方式を考案し,その有効性を確認した.本方式は既開発の電力スペクトル法を用いて得た遅延波レベル/希望波レベル,遅延時間の絶対値と新たに考案した方法により求めた希望波と遅延波のキャリヤ中心周波数での位相差(初期位相差)及び遅延時間の極性(遅れ,進み)を組み合わせて伝達関数を生成し,受信波を除算することによりひずみを等化している.本手法を用いれば,遅延時間が1ms程度で,かつ希望波レベル/遅延波レベルが3dB程度の遅延波が到来した場合でも受信が可能となり,今後のSFN局の増加に伴う混信の改善に有効である.