抄録
立体映像として「望ましくない」映像を観察することが,心理学的,生理学的にどのような変化を引き起こすかを定量的に明らかにすることを目的とするものである.実験に際して,現実場面を3Dカメラを用いて記録した動画像に対して,視差,両眼間での映像の整合性,再生スピードなどを意図的に変調した映像を作成し,これを観察者に提示した.被験者には,快適さに関して映像観察の前後と,観察中1分おきに主観的に報告することを求めた.また生理学的な観点から,映像を観察中の心電図計測をすることにより自律神経系の活動状態を,時系列的に評価することを行った.その結果、不適切な設定を含む立体映像が観察者の主観に対して影響を与えることを示唆する結果を得た.