抄録
本稿では,色のカテゴリカル知覚と色覚特性の違いを考慮した,配色調整問題の定式化手法と,その実装を提案する.提案手法は,公共スペースのフロア・マップや書籍や論文などの図といった,情報の表現に焦点を当てている.これらの情報表現には,アート・デザインと媒体の二つの側面があるため,配色の調整には困難が伴い,最適な配色の組み合わせは容易には決定されない.著者らは,この問題に対する取り組みとして,人工知能の一分野であるファジィ制約充足問題として定式化する手法を既に提案している.本稿では,色のカテゴリカル知覚(色名と色覚の関係)に着目し,提案手法を改良する.また,この手法のグレースケール変換への応用例を示す.