本研究では速度の異なる二種類のオプティカルフローを同一空間内で重ねて呈示するときに生起するベクションの速さを調べた.二つのオプティカルフローの速度差が小さいとき,ベクションの速さは二つのオプティカルフローの空間分布密度比に応じて線形に増加した.一方,オプティカルフローの速度差が大きいとき,ベクションの速さは遅いオプティカルフローの寄与が大きくなる特性を示した.このようなベクションの速さの特性を,オプティカルフローの空間分布密度比に対する足し合わせモデルによって表すことができる.また,この二つのオプティカルフローにより生起するベクションの速さの特性は,我々が以前に行ったベクション誘導刺激による自動車運転者の速度感覚の変化と一致する.