本論文はロスレス符号化のためのロスレス変換の最適化法を提案している.正規直交変換は変換行列をリフティング分解することでロスレス変換として実現できる.分解には行入れ替えを組み合わせることができるが,行入れ替え毎にリフティング構成の乗算係数が異なるため,丸め誤差の影響が変わり圧縮率も変化する.圧縮率は画像にも依存するため,最適な構成を選択するには画像毎に全ての構成で圧縮率を調べる必要がある.しかし,行入れ替えの組み合わせは行列サイズの階乗であり,この最適化は困難である.そこで本研究では,加法性雑音モデルを用いて丸め器の影響を理論的に導出することで,全ての構成から候補を絞り込む方法を提案する.