抄録
カラー画像からモノクローム画像へと変換する際には,三原色から単一色への情報の削減を伴う.従来は,人間が感じる明るさ情報である輝度情報のみを残すことで情報削減を行っていた.人間は輝度情報から最も多くの情報を得ており,この手法で得られる画像は知覚的には自然な変換であるといえる.一方で,同程度の明るさで色数が多い画像において,カラー画像でははっきりと見分けることができた物体が,モノクローム画像では同一濃度へと変換され,見分けることができなくなっていた.そこで本研究では,色の知覚差である色差を利用したモノクローム変換を行うことで,色数が多い画像でも差が知覚可能なモノクローム画像生成を目指した.