歩容は個人の歩き方を示す生体情報であり,遠方のどの角度からでも取得可能であるという利点がある.しかし,携帯品を所持している場合,識別精度が低下することが問題となっている.そこで本稿では,背面から取得された携帯品を所持した歩容に対し,シルエット変化と歩行姿勢の変化に頑健な識別手法を提案することを目的とする.まず,携帯品所持歩容シルエットに対して,頭部領域調整を用いてGEI(Gait Energy Image)を生成する.次に,頭と両腕,脚領域に着目し,携帯品領域を除外するとともに,GEIの勾配情報を得ることで歩容特徴を得る.最後に,携帯品を持つ腕から得た特徴を除外し識別を行うことで携帯品所持歩容に対する頑健さを検証した.実験の結果,携帯品を所持しているデータに対して95.0%の識別率を得た.