抄録
映像音響演出の分野において「Atmospheric Sound」と呼ばれる類の音は,登場人物の心情や状況を表現するためにも活用されている.これらは音楽とも効果音とも言えない中間領域の音響表現が用いられているが,演出技法には特定の概念がなく,制作手法についても系統だった調査分類などが行われてきていない.本研究では主に日本の SFアニメに焦点をあて, 00年代以降のコンテンツを中心に 12タイトル, 83シーンの調査を行った.これにより映像表現技法としては各種編集技法との関連が深く,音響制作技法としては不協和音や非整数次倍音をふんだんに含んだサウンドが多用されていた.さらに海外コンテンツと比較すると,電子音響の使用率の高さが顕著にみられた.