岩手医科大学歯学雑誌
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原著
Enzyme-linked immunosorbent assayによるA,B,C,G群レンサ球菌に対するIgM, IgG抗体測定と抗体の推移
田近 志保子金子 克高砂子 祐平
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1990 年 15 巻 1 号 p. 24-33

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抄録

1984年1月から1988年12月までの5年間,慢性疾患児・虚弱児収容施設の小・中学生(7,926名)を対象として,毎月1回,咽頭培養を行いβ溶血レンサ球菌の分離を行った。また, A群レンサ球菌 (T-4,T-6, T-12型), B群レンサ球菌 (la, Ib, Ic, Ⅱ, 皿型), C群, G群レンサ球菌分離陽性者にっいて, 経時的にIgM, IgG抗体の推移をEnzyme-linked immunosorbent assay(ELISA) により測定して次の結果を得た。

1) 1987年, 1988年には, G群レンサ球菌を55.8%, 70.2%と高率に分離した。

2) 観察期間中に同一人から継続分離したβ溶血レンサ球菌の群, 型に変化のあった学童は, 293例中153例あった。

3) β溶血レンサ球菌分離陽性者では群, 型特異IgM, IgG抗体の上昇が275例に確認できた。

4) 観察期間中に同一人から同じ群, 型のβ溶血レンサ球菌を分離した学童52例では, その群, 型に特異的な高い抗体価を維持した。また, 観察期間中に同一人から継続分離したβ溶血レンサ球菌の群, 型に変化のあった学童48例では, 変化した時点で群, 型に特異的IgM, IgG抗体の上昇を認め, 変化前の抗体は消失していた。

以上のことからβ溶血レンサ球菌感染症の血清学的診断法の一つとして実用化できると考える。

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1990 岩手医科大学歯学会
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