岩手医科大学歯学雑誌
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最新号
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症例集積研究
  • 山谷 元気, 宮本 郁也, 阿部 亮輔, 小松 祐子, 角田 直子, 川井 忠, 小川 淳, 千葉 俊美, 山田 浩之
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 46 巻 3 号 p. 117-124
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/07/03
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,担癌(がんを体内に有している状態)患者における骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(anti resorptive agents-related osteonecrosis of the jaw;以下 ARONJ)の病態,治療法および治療成績を評価することを目的とした.

    【対象・方法】2012 年1 月から2016 年12 月までの5 年間に当科でARONJ と診断されたのは62 例であった.このうち悪性腫瘍を原疾患とする25 例を対象として,使用された骨吸収抑制薬の種類,ARONJ の発症部位と誘因,初診時のARONJ の病期,治療法と成績について検討した.

    【結果】骨吸収抑制薬の種類はビスホスホネート製剤が18 例(72%),デノスマブが9 例(36%)でそのうち重複使用が2 例(8%)であった.ARONJ の発症部位は,下顎単独が20 例(80%),上顎単独が 4 例(16%)で,上下顎同時発症が1 例(4%)であった.発症リスクでがん以外の全身的リスク因子を有していた症例は8 例(32%)で,すべて糖尿病であった.最も高頻度な局所性リスク因子は,抜歯で10 例(40%)に認めた.初診時のARONJ の病期分類ではStage 1 が5 例(20%),Stage 2 が 18 例(72%),Stage 3 が2 例(8%)であった.Stage 1 では全例(5 例)に保存療法が選択された.Stage 2 では18 例中12 例に保存療法,6 例に外科療法が選択された.Stage 3 では全例(2 例)に保存療法が選択された.保存療法全体での奏効率は47.8% で,外科療法の奏効率は66.7% であった.

    【結論】本研究結果からARONJ に対する外科療法の奏効率は高値を示した.担癌患者の予後は個人間の差異が大きいため全身的,局所的な状態を充分に見極めた上で治療法を選択する必要がある.

症例報告
  • 四戸 豊, 坂野上 和奏, 伊藤 元, 佐藤 州, 宮前 善尚, 筑田 真未, 佐藤 健一
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 46 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/07/03
    ジャーナル フリー

    5p- 症候群は第5 常染色体の短腕の欠損によって全身に種々の障害をもたらす染色体異常症候群の1 つである.乳幼児期に子猫のような甲高い声を認めるためcat cry syndrome(ねこ鳴き症候群)とも呼ばれている.今回われわれは,心室中隔欠損症(以下VSD)を合併した5p- 症候群患者の歯科治療時の全身麻酔を経験した.患者は37 歳男性(身長150 cm,体重40 Kg)で下顎右側水平埋伏智歯の診断により全身麻酔下での抜歯術が予定された.出生時に5p- 症候群と確定診断され,そして先天性心疾患も合併していた.心疾患は内服治療による対処療法のみが行われ,根治術は施行されていなかった.患者は重度の精神発達遅滞があり,歯科治療に対して協力できなかったため,全身麻酔下での治療が計画された.麻酔導入はミダゾラム2.5 mg,フェンタニルクエン酸塩50 ㎍,レミフェンタニル塩酸塩 0.1 γで静脈持続注入し行った.そしてロクロニウム臭化物 40 mg により筋弛緩を得た後,ノーマルチューブを挿管した.挿管困難度はグレード2 であった.麻酔維持は空気,酸素,プロポフォールで行った.循環動態はおおむね安定し.SpO2 とECG も正常範囲内で臨床的問題となることはなく,手術時間20 分,麻酔時間80 分で終了した. VSD を合併した5p- 症候群患者の歯科治療時の全身麻酔管理を経験した.先天性心疾患患者の管理には,病期の進行に応じた周術期管理が必要であり,循環器内科と連携を図ることを再確認した.

特別寄稿
  • ~岩手県立中部病院とのモデル事業から~
    高橋 綾
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 46 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/07/03
    ジャーナル フリー

    岩手県中部地域は,北上,花巻,遠野,西和賀の4 地区を合わせた人口約22 万人の地域で,岩手県立中部病院は,その中部地域にある病床数434 床,平均在院日数10.5 日(平成27 年度)の急性期病院である.25 科ある診療科の中には歯科がないため,平成21 年の開院当初から北上歯科医師会と,平成26 年度からは花巻市歯科医師会の協力も得て,2 つの地域歯科医師会と連携している(図1).

  • 伊藤 薫樹
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 46 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/07/03
    ジャーナル フリー

    がんの治療成績は基礎および臨床研究の進歩により確実に向上しているが,安全かつ効果的な治療のみならず,苦痛を限りなく緩和し,患者のQOL を良好に維持することが求められる.岩手医科大学附属病院がんセンターでは,多職種によるチーム医療の一環として,医科歯科がん連携を推進している.院内の紹介患者数は着実に増加しているが,まだ十分であるとは言えない.そこで化学療法に携わる医師を対象にアンケート調査を実施した.医科歯科がん連携の必要性は広く理解されているが,1/3 の医師は院内での連携について認知していなかった.また,利用したいと思ってはいるが手続きが煩雑なことや連携歯科医師・衛生士が少ないこと,などが課題として抽出された.今後はこれらの課題を解決し,多くのがん患者に良質ながん医療を提供できるよう連携を強化する必要がある.

  • 山田 浩之, 宮本 郁也, 大橋 祐生, 川井 忠, 古城 慎太郎, 山谷 元気, 小野寺 慧
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 46 巻 3 号 p. 143-150
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/07/03
    ジャーナル フリー

    近年口腔がんの罹患率や死亡率は増加傾向にあり,歯科医療の現場では早期発見のための意識改革が求められている.他部位のがん検診に比べ,口腔がんのスクリーニング検査に対する関心は低く,一般に広く周知されているとは言い難い.われわれは関係機関と共通理解を図り,協働して口腔がんの早期発見のために実りある活動を展開していきたいと考えている. 1. 口腔がん検診 岩手県内の一部の地域では集団検診が行われてきた.大槌町では2011 年から口腔粘膜疾患のコホート研究として年に1 回の検診を継続している.また,花巻市においても2016 年から歯科保健大会に伴う口腔がん検診が行われている.より広域での実施が望まれる. 2. 岩手県歯科医師会との連携 岩手県歯科医師会会員が日常の臨床の中で個別検診を実施する際,チェックポイントを明示したマニュアルを作成し,協力を仰いだ.これにより,当院への円滑な紹介システムが構築されている. 3. 院内における診療体制 口腔がんの早期発見には,口腔内全体を診察することが有効だが,院内でアンケート調査を行ったところ,初診時に口腔がんスクリーニング検査を実施しているのは43.6%であった.これを受けて2018 年から臨床研修歯科医のオリエンテーションに「口腔がんスクリーニング検査の重要性」という講義を新設した.院内での検査の普及,歯科医師の意識,スキルの向上に繋がっていくものと考えている. 4. 一般社会への啓発 歯科を受診する患者のみならず,自治体や企業による保健事業等を通して口腔がんに対する関心を喚起し,機会をとらえて一般社会に広くセルフチェック方法を紹介したい.杉山芳樹名誉教授が考案された簡便な検査法「あーかんべー検査」は有効な方法の一例である. これらの中で,歯科医師による日常の臨床での個別検診は,口腔がん早期発見への最短コースに繋がると思われる.岩手県歯科医師会との連携を強化し,具体的手段として個別検診の受診率向上を図っていきたい.

第91回岩手医科大学歯学会例会抄録
特別講演
優秀論文賞受賞講演
一般演題
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