岩手医科大学歯学雑誌
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原著(研究)
  • Shu SATO, Minoru SASAKI, Yu SHIMOYAMA, Kenichi SATO, Taichi ISHIKAWA
    原稿種別: research-article
    2023 年 48 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2023/08/21
    ジャーナル フリー

    Objective

    To clarify the tryptophanyl-tRNA synthetase (WRS) production release from lower respiratory tract cells by the infection of oral bacteria and it’s immunological responsiveness.

    Methods

    A549 were used as lower respiratory tract epithelial cells. The bacterial strains used were Staphylococcus aureus ATCC 25923 and Streptococcus sanguinis ATCC 10556. The WRS expressions from A549 stimulated with both bacteria were analyzed by western blotting. Cellular destruction was investigated by lactate dehydrogenase (LDH) activity. The gene (TNF-α, IL-6, IL-8, CCL2, and E-selectin) expressions from A549 stimulated with recombinant WRS (rWRS)were analyzed by quantitative PCR. The effects of polymyxin B (PMB)-treated rWRS, heat-treated rWRS, or co-stimulated with rWRS, and peptidoglycan (PGN) were also investigated.

    Results

    In the culture supernatant, WRS was observed after stimulation with Staphylococcus aureus and an increase in LDH activity, simultaneously. However, the WRS gene expression did not change significantly. The expression of all target genes were significantly upregulated. These inducing activities were not inhibited by PMB that decreased to control levels by heat treatment and increased additively by PGN co-stimulation.

    Conclusion

    These results suggest that WRS released from lower respiratory tract epithelial cells by the upper respiratory resident bacterial influx into the lower respiratory tract could be a host factor inducing inflammatory responses. Keywords: Staphylococcus aureus, human alveolar epithelial cells (A549), tryptophanyl-tRNA synthetase (WRS), inflammatory response

  • 佐々木 渓斗
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 48 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2023/08/21
    ジャーナル フリー

    口腔内には,常に700 種以上の微生物が存在し,加齢や免疫の低下に伴いそれらが様々な疾患に関与することが知られている.

    加齢とともに口腔内の細菌叢が変化し,Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)を起因とした歯周病はもちろん,可撤性義歯使用者では,Candida albicans(C. albicans)による義歯性口内炎等,微生物由来の炎症性疾患が多く報告されている.

    これらに対する予防法としては機械的プラークコントロールと化学的プラークコントロールが挙げられるが,化学的プラークコントロールの一つである洗口法は患者が行える代表的なホームケアであり,利用される洗口液は数多く存在する.

    本研究の目的は,P. gingivalisC. albicans に対する洗口液の有効性を検討することであった. P. gingivalisC. albicansを複数の洗口液を用いて洗口法を模した方法で洗浄し,寒天培地に播種し, P. gingivalisC. albicans の生存率を評価した.また,レジン製ブロック上で P. gingivalisC. albicans を培養し,レジン製ブロックを洗口液にて洗浄し,付着した菌を回収し,寒天培地に播種し,P. gingivalisC. albicans の生存率を評価した.

    洗口法を模した方法では,セチルピリジニウム塩化物(CPC:Cetylpyridinium Chloride)含有の洗口液が他の洗口液と比較し,P. gingivalisC. albicans の増殖を有意に抑制した(p<0.05).他の洗口液はコントロールと比較して有意な差は認められなかった.

    義歯洗浄を模した方法においても,CPC 含有の洗口液が他と比較し,P. gingivalisC. albicans の増殖を有意に抑制した(p<0.05).また,他の洗口液はコントロールと比較して有意な差は認められなかった.

    本研究の結果から,洗口液中のCPC が菌の活動を抑制することが明らかとなり,歯周炎や義歯性口内炎など,様々な口腔内微生物を原因とする疾患の予防に有効であることが示唆された.

  • 吉田 大地, 野尻 俊樹
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 48 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2023/08/21
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,インプラント周囲炎に対してインプラント表面の機械的清掃と骨移植を適用した症例について,その治療効果に関する評価検討を行うことである.

    岩手医科大学内丸メディカルセンターの口腔インプラント科に来院したインプラント周囲炎を発症した患者に対し,チタンワイヤーブラシによる機械的清掃と骨移植を行った症例を調査対象とした.術前,および術後にインプラント上部構造を再装着してから6 か月以上経過時のデンタルエックス線写真を用い,2 種類の方法で治療効果を評価した.

    術前,および術後にインプラント上部構造を再装着してから6 か月以上経過時のデンタルエックス線写真上で,インプラント体のスレッドの位置,およびインプラントの長径を指標として,周囲骨レベルを求め,それらを比較することでインプラント周囲骨の回復率を算出した.これらの評価方法において,術前および術後のインプラント周囲骨のレベルをMann-Whitney のU 検定を用いて比較した.

    インプラントのスレッド部を指標とした評価方法において,すべてのインプラントの術前の周囲骨レベルの平均は59.5 ± 9.4% であったのに対し,術後にインプラント上部構造を装着してから,6 か月以上経過した時点の骨レベルの平均は90.6 ± 9.4%,また,インプラントの長径を指標とした評価において,インプラントの術前の骨レベルの平均は54.2 ± 10.9% であったのに対し,術後にインプラント上部構造を装着してから,6 か月以上経過した時点の骨レベルの平均は83.7 ± 9.0% であり,術前の周囲骨レベルと比較して,術後の周囲骨レベルのほうが有意に高いことが示唆された.

  • 岡本 真実, 田邉 憲昌
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 48 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2023/08/21
    ジャーナル フリー

    口腔内スキャナーを用いた咬合採得では,上下顎の歯列スキャン画像と咬合した状態の頬側スキャン画像を重ね合わせることで咬合関係の再現を行う.この時に,実際の口腔内では起こりえない上下顎の咬合面が貫通する画像が観察される場合がある.この現象が起こる要因の1つとして,咬合力によって生じる歯の偏位が推察される.そこで,本研究では,重ね合わせ時に生じる咬合面画像が貫通する現象に咬合力がどの程度,影響するかについて検証した.

    健全な天然歯列の被験者40 名(男性19 名,女性21 名,平均年齢27.7 ± 2.0 歳)を採用した.口腔内スキャナー(TRIOS 3)を用いた光学法では,上下顎の右側第一小臼歯から第二大臼歯部にかけてスキャンした.咬合採得時に,被験者に「普通に咬んでください」,「軽く咬んでください」,「強く咬んでください」を指示し,3 種類の咬合パターンのデータを取得した.各咬合条件のSTL データを画像解析ソフトウェアプログラムから,咬合接触点数・咬合面貫通部分の体積を算出した.また,シリコーンゴム印象材を用いた従来法では,歯接触分析装置を用いて,咬合接触点数を算出した.

    光学法と従来法は,ともに咬合力が大きくなるにつれて,咬合接触点数が増加し,各咬合条件間に有意差が認められた(P<0.05).また,咬合面貫通部分の体積においても,強い咬合条件が通常咬合,弱い咬合と比較し,有意に大きい値を示した(P<0.05).

    本研究の結果から,光学法では咬合が強いほど,咬合面が貫通した部分の体積が増加することが明らかとなった.また,光学法における画像の重ね合わせ時に,咬合面が貫通する現象が起こることで,咬合時に生じる歯列の変形を補正している可能性が考えられた.

第94回岩手医科大学歯学会例会抄録
特別講演
  • 黒瀬 雅之
    原稿種別: 講演記事
    2023 年 48 巻 1 号 p. 39
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2023/08/21
    ジャーナル フリー

    我が国は,世界最高水準の平均寿命を達成し,誰もが願う長寿社会を現実としている.世界に先駆けて超高齢社会の入口に立つ我が国では,国民の更なる健康な生活及び長寿を享受する社会構築が急務である.この社会的背景から,日本再興戦略-JAPAN is BACK- にて,科学技術イノベーションの軸となる医療研究開発機構の設立が認可され,各種医療機器開発が戦略的に行われてきた.その中で,基礎研究から実用化へと一貫して繋ぐプロジェクトが推奨され,基礎研究の重要性は増している.

    私は,岩手医科大学歯学部を卒業後,新潟大学歯学研究科にて口腔生理学を専攻し,運動機能と背景の神経機構を中心にモデル動物を用いた基礎研を行ってきた.これに加え,山田好秋先生(大学院の主任教授)と実験動物の顎運動記録系のコア技術を活用した日常生活動作用頭位・姿勢記録装置に着手するなど,基礎研究でのノウハウを活用した機器開発を実践してきた.また,嚥下機能の低下した高齢者の増加という社会的課題に対応するために,訓練手法の確立を目指した電気刺激による嚥下反射誘発システムや,簡易的な嚥下機能評価として口腔・咽頭内の圧変化に着目したシステム開発に着手し,論文発表に加えて知財の取得にまで至ってきた.

    実験動物から得られた研究成果は,臨床応用が遠いと思われやすいが,基礎研究で培った“ノウハウ”が,臨床に応用されることで多くの患者の役に立てる可能性を秘めてる.ただ,基礎研究の基となるアイデアにも臨床の視点が大事になることが多く,是非に基礎研究に興味を持って頂ければと考えます.

    本講演では,昨年度に特許出願を行った「とろみ度測定装置」の開発に至った経緯を中心に,基礎研究の“ノウハウ”の展開について説明する.

一般演題
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