岩手医科大学歯学雑誌
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研究
抗癌剤によって培養メッケル軟骨に誘導されるアポトーシス細胞の特徴
品川 拓人原田 順男熊上 亮石関 清人
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2003 年 28 巻 3 号 p. 158-170

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抄録

抗癌剤のエトポシトとカンプトセシンによってメッケル軟骨に誘導される細脳死かアポトーシスによるものか否かを検索した。細脳死は胎生16日のマウスから分離した培養メッケル軟骨にエトポシト(200μg/ml)とカンプトセシン(50μg/ml)によって誘導した。これらの効果はTUNEL法と光顕およひ電顕に加え、免疫組織化学的に解析した。エトポント処理した培養細胞はアポトーシスの指標となる多くのTUNEL陽性細胞を示した。微細構造的にエトポシトてのアポトーシス様の細脳死は細脳性出芽、核クロマチンの濃縮、アポトーシス小体の形成によって引き続かれた。これに対し、カンプトセシンによる細脳死はエトポシトと同様にTUNEL陽性細胞の増加を示した。これらの抗癌剤処理後のアポトーシスは時間依存的に増加し、特に、12時間後から急速に増加した。P53の免疫染色では、この蛋白は正常な培養軟骨細胞では陰性であったか、エトポノトとカンプトセシン処理群では恒常的に促進された。一方、bcl-2の反応は培養初期の正常軟骨細胞に局在したが、抗癌剤処理群では認められなかった。本研究から、エトポシトとカンプトセシンによってメッケル軟骨に誘導された細脳死は典型的なアポトーシスによる細脳死で、これらの抗癌刻は腫瘍細胞のみならす、正常な軟骨細脳にもアポトーシスを誘導することか示唆された。

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2003 岩手医科大学歯学会
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