岩手医科大学歯学雑誌
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研究
セルフアドヒーシブレジンセメントのエナメル質および象牙質に対する接着性能
寺田 林太郎岡田 伸男久保田 稔
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2009 年 34 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

この研究の目的は,120本のウシ永久下顎前歯唇面を削り露出させたエナメル質および象牙質に対するセルフアドヒーシブレジンの接着強さを評価することにある。2種類のセルフアドヒーシブレジンセメント(MaxcemおよびSmartcem)並びに2種類セルフエッチングプライマーレジンセメント(LinkmaxおよびResicem)を製造業者指示に従って使用した。さらにMaxcemおよびSmartcemでは15秒間40%リン酸前処理を行ったものを酸処理群とした。レジンセメントはモールドを用いエナメル質および象牙質に接着させた。試料は24時間37℃水中に保管後,クロスヘッドスピード0.5mm/minにて引張り接着強さを測定した。得られた値はOne-way ANOVAとTukey-Kramer testを用いて行った。MaxcemおよびSmartcemはエナメル質および象牙質のいずれでもLinkmaxおよびResicemよりも接着強さが低かった(p<0.05)。リン酸処理はMaxcemおよびSmartcemのエナメル質への接着強さを改善(p<0.05)したが,象牙質への接着強さを改善できなかった。本研究では,セルフアドヒーシブレジンはエナメル質および象牙質への接着性能がセルフエッチングプライマーレジンセメントよりも低いことが明らかとなった。

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2009 岩手医科大学歯学会
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