2017 年 42 巻 1 号 p. 12-21
本研究の目的は,上部構造破損の破損と終日の咀嚼筋筋活動について携帯型筋電計を使用して,その関連を明らかにすることである.
岩手医科大学附属病院歯科医療センター口腔インプラント科を受診している患者で,上部構造装着後に前装部材料の破損が認められた10名を被験者とした.今回,上部構造の破損によって Catastrophic failure (CF 群)と Control (CO 群)の2群に分けて各々の筋活動動態の解析を行った.実験使用した携帯型筋電計は本体と電極で構成されている.筋電計は終日(約24 時間)咬筋に装着し,日常生活を阻害することなく測定が可能である.得られたデータはパーソナルコンピュータ上で分析を行い,行動記録を対応させた.ブラキシズムの識別閾値は過去の研究から値を設定した.
全被験者に閾値を越えたブラキシズム様イベントが観察された. CF 群はCO 群と比較し覚醒時と睡眠時の非機能運動時における筋活動量が有意に高い値を示した(p<0.05 Mann-Whitney U-test).また,機能運動時における筋活動量に有意差はみとめられなかった.
本研究の結果から,インプラント上部構造の破損と筋活動量に関連があることが示唆された.