岩手医科大学歯学雑誌
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症例報告
保存困難な歯周病罹患歯にEr:YAG レーザーを適用した症例
村井 治永田 光佐々木 大輔八重柏 隆
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2017 年 42 巻 2 号 p. 71-78

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抄録

歯周基本治療においては歯肉縁下の根面に対して非明視下でのスケーリング& ルートプレーニング(Scaling & Root Planing: SRP)が行われるが,近年では,組織の熱変性が軽微であり,水への高い吸収性を示すErbium-doped : yttrium-aluminum-garnet (Er:YAG)レーザーがSRP を含む病的根面のデブライドメントに用いられている.今回,上顎前歯部に著しい骨吸収を伴う保存困難歯に対して,Er:YAG レーザーを用いて1 年半以上,保存が可能であった症例を経験した.患者は81 歳男性.上顎 前歯部の違和感を主訴として来院した.診査の結果,に10mm を越す歯周ポケットと根尖を越す著 しい骨吸収が認められ保存困難と診断した.しかし本人が可及的保存を強く希望したためEr:YAG レーザーを用いてSRP を実施した.その結果, 深い歯周ポケットの改善とBleeding On Probing(以下BOP)(+)部位の減少を認めた.本症例でEr:YAG レーザーは,重度歯周炎で保存困難な歯であっても炎症の軽減に効果があることが示された.

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2017 岩手医科大学歯学会
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