岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
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原著
乳歯の外傷固定法の一考案
野坂 久美子佐々木 仁弘守口 修丸山 文孝山田 聖也袖井 文人甘利 英一
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1982 年 7 巻 1 号 p. 44-52

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抄録

著者らは, 乳歯の外傷固定に, ダイレクトボンディング法と®Imprelon (1mm厚さ) を用いて圧力成形法で作成したスプリントの併用方法を用いた。今回は, そのスプリントの製作方法ならびに整復から固定までの術式, また, それを用いた8症例を紹介した。この固定法は次のような利点を有している。1)製作時間が短い。2)成形後のスプリントの厚さが0.5~0.7mmで薄く, 異物感が少ない。3)表面が滑沢のため, 軟組織への損傷が少ない。4)弾力性と維持力に富み, 破折に強い。5)咬合圧で変形しない。6)除去が容易。7)透明であるため, 患歯の確認が容易。8)低年齢児にとくに, 有効である。また, 整復時に線結紮を行っておいた方が, その後のスプリントの製作, 装着が容易であった。なお, 固定期間中, スプリントの脱落は認められず, 固定期間は3週間が適切であった。

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1982 岩手医科大学歯学会
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