本稿では,米国公会計における期間衡平性概念が依っている衡平観を明らかにするために,GASB会計基準の資本的資産にかかる会計処理を題材として検討した。検討の結果,米国公会計における期間衡平性概念が依っている衡平観が,応益負担に基づくものであることを明らかにしている。期間衡平性を評価するためには,資本的資産にかかる会計処理を設定するにあたり,当該資産によるサービス(便益)の提供を受ける世代と当該資産にかかるコストを負担する世代が一致するよう考慮されなければならない。応益負担に基づく衡平観に依れば,資本的資産には原価モデルを適用することが適当であり,再評価モデルは棄却される。そして,資本的資産の見積使用期間にわたり,当該資産によるサービス提供量を反映する方法で,当該資産の取得に要した支出額および除去コストを配分する必要がある。また,減価償却が適用されない適格インフラ資産については,取替法の欠陥により生じる問題を克服するために,当該資産によるサービス提供量を反映する方法で毎年の修繕引当金繰入額を決定することによって,資産維持計画にもとづき予想される支出額(追加および改良を除く。)を配分する必要がある。