会計プログレス
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 疫学的手法を援用して
    記虎 優子
    2026 年2026 巻27 号 p. 1-20
    発行日: 2026/09/01
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿では,決算発表タイミングに影響を及ぼす企業特性として,内部統制システムの構築に際する企業の財務報告の重視(すなわち,企業の財務報告志向)に着目している。その上で,multiplicative scaleとadditive scaleの両方のscaleを用いて,企業の財務報告志向が決算発表タイミングに与える影響を検証し,さらに疫学的手法を援用してかかる影響が有意義であるかどうかを解明している。そして,検証の結果,因果効果の存在を実証するにとどまらず,決算発表の具体的なタイミングごとに「因果効果の大きさ」や,さらには因果効果に起因して企業の財務報告志向が決算発表タイミングに「現に与えた影響」や「将来的に与え得る影響」も分析し,企業の財務報告志向には決算発表の適時性の引上げ効果と下支え効果の両方が実質的に認められることを明らかにした。
  • 複数期間/複数課題分析
    真田 正次
    2026 年2026 巻27 号 p. 21-38
    発行日: 2026/09/01
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル フリー
     本研究は,企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した公開草案に対するコメント・レターを分析し日本における会計基準設定活動の特徴を明らかにすることを目的としている。特に,利害関係者(財務諸表作成者,会計専門職,利用者等)の参加の多様性,公開草案の内容と参加行動の関係,および参加者の属性がコメント投稿に与える影響について検証を行っている。分析対象は,2001年から2024年までの136件の公開草案に対する1858通のコメントである。分析の結果,ASBJのコメント参加は会計専門職や業界団体に集中し,企業個別の参加は限定的であること,特定の論点(収益認識,リース会計等)に対する参加が著しく高いこと,が分かった。また,IASBとの比較では日本特有の参加行動が確認された。これらの特徴は,日本の市場環境や文化的要素が大きく影響していると考えられ,ASBJの基準設定プロセスの正統性維持のためにはさらなる参加多様性促進策が求められることを示唆している。
  • のれんの減損に焦点を当てた分析
    邱 勤斌
    2026 年2026 巻27 号 p. 39-58
    発行日: 2026/09/01
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿は,のれんの減損に関連する監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters:KAM)の記述内容(以下,GWIKAM記述)を対象とし,財務上のリスク,特にのれんの減損リスクがGWIKAM記述にどのような影響を与えるかを分析した。分析の結果,のれんの減損リスクが高い場合,GWIKAM記述が長く,経営者の見積りに言及する頻度が高く,GWIKAM記述の対前期類似 度が低くなる傾向が観察された。他方,GWIKAM記述の対同業他社類似度については,減損リスクとの関係が一貫して確認されなかった。本稿の分析結果は,GWIKAM記述が監査人のリスク評価を一定程度反映すること,およびKAMの選定項目に関して財務諸表利用者の理解に資する情報を含み得ることを示唆している。これは,KAMのボイラープレート化をめぐる議論に対して検討の手がかりを提供するものである。
  • EBITDAに注目した実証研究
    殷 広為, 安酸 建二
    2026 年2026 巻27 号 p. 59-80
    発行日: 2026/09/01
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル フリー
     Non-GAAP指標の利用動機について,先行研究では「GAAP指標による業績説明の限界を補う」という説明と,「良好ではないGAAP指標から投資家の関心を逸らす」という説明が支配的である。これに対して,本研究は,企業ライフサイクルの導入期あるいは成長期に固有の経営課題に応じて,経営者がNon-GAAP指標であるEBITDAを中期経営計画の経営目標として設定する傾向を明らかにした。さらに,EBITDAを経営目標とする中期経営計画が事前に公表される場合,経営者は決算発表で事後的に同指標に言及する可能性が高いことも明らかにした。本研究は,先行研究とは異なる視点からNon-GAAP指標の説明を試み,これを実証的証拠とともに提供することで,Non-GAAP指標に関する従来の議論を補完し拡張する。
  • 1953年円卓討論と沼田簿記の教育実験に手掛かりを求めて
    児島 記代, 藤井 秀樹
    2026 年2026 巻27 号 p. 81-96
    発行日: 2026/09/01
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル フリー
     簿記教育の現状の改善を図るにはどのような取組みが必要であり,かつまた可能であるかを,文献研究を通じて再考するのが,本稿の課題である。この課題を遂行するために,戦後の簿記教育において異例の教育実験に繋がった沼田簿記に焦点を当て,高校簿記教科書とその関連文献を主要な研究素材としながら,戦後の導入簿記教育の実践過程を追跡し,その意義と限界について考察を行った。その結果,沼田簿記で実践されたような学習内容の「単純化」によって簿記教育が抱える問題状況の解消を図ることには限界があることが,明らかになった。以上の検討を踏まえ,簿記教育の再生を図るには,かつて吉田(1914)やFinney(1932)で試行されたような系統学習を今日の教育環境に適合させる形で既存の単元学習と併用することが1 つの有効な方途となることを,われわれは提案した。
  • アーカイバルデータを用いた導入前後の比較
    佐久間 智広, 劉 美玲
    2026 年2026 巻27 号 p. 97-114
    発行日: 2026/09/01
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,アメーバ経営の導入が業績と従業員の行動に与える影響を実証的に検証する。先行研究では,アメーバ経営の効果について事例研究や質問票調査による分析が中心であり,アーカイバルデータを用いた定量的な検証は極めて限られていた。株式会社ちよだ鮨のアメーバ経営導入前後の業績データを分析した結果,時間当たり採算の改善が確認された。この改善は売上高の増加と経費削減の両面から生じており,特に若手店長において効果が顕著であった。本研究は,アメーバ経営の効果について,アーカイバルデータによる実証的な証拠を提供した。さらに,アメーバ経営の人材育成における効果と整合的な結果を得た。
  • 監査法人のIFRS専門性がもたらす影響に関する実証分析
    大澤 肇
    2026 年2026 巻27 号 p. 115-136
    発行日: 2026/09/01
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿は,日本の上場企業を対象に,IFRS適用による監査報酬への効果と,当該効果が監査法人のIFRS専門性によりどのような影響を受けるかを検証する。実証分析の結果,IFRS適用により監査報酬が上昇する傾向が観察されるが,IFRS専門性の高い監査法人が監査を実施する場合,こうした監査報酬の上昇が抑制されることが示された。これらの結果は,IFRS適用に伴う監査対応の複雑性の増加が監査報酬の上昇をもたらす一方,IFRS専門性の高い監査法人が監査を実施する場合,こうした監査複雑性の増加により効率的に対応可能であることから,監査報酬の上昇を抑制できる可能性があることを示唆している。監査報酬は,IFRSの適切な執行・コンプライアンスに関わるコストの1 つとして,その重要性が認識されている。本稿は,IFRS適用による監査コストへの影響に係る議論に,監査法人のIFRS専門性という新たな角度から光を当てることにより,IFRS導入をめぐる制度や規制のコスト面への影響に係る実証的知見の拡張に貢献する。
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