抄録
投資者保護のための財務報告を対象とする財務会計の研究は,既存および潜在的な株主と債権者の私的利益の保護を越えて,次のようにして公益の促進にも寄与する。規範的研究は,基礎概念の提示と会計処理方法の演繹を通じ,会計基準設定機関のデュープロセスと相俟って,利害関係者の理解と遵守意欲を高めるような会計基準の形成に役立つ。他方,価値関連性研究に代表されるような記述的研究は,株価への反映が不十分な会計情報や投資手法の証拠を提示して裁量取引を誘発することにより,市場の効率性の促進と投資者の市場参加意欲を高めて,経済社会全体における望ましい資金配分を促進する。