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スタートアップの持続的成長と財務会計
中條 祐介
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2026 年 208 巻 2 号 p. 1-12

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抄録
本稿は,日本会計研究学会第84 回大会(2025 年8 月)統一論題の第1 会場(「スタートアップの持続的成長と財務会計」)における報告・討論を整理し,スタートアップ・エコシステム形成に対する財務会計・財務報告の役割を検討する。まず山本報告は,IPO における日本型ブックビルディング方式の実態とその帰結を踏まえ,IPO 市場の公正性を確保するためには,財務会計研究者が多様な企業価値評価モデルを提案し,それらが実務で利用されることが重要であると指摘している。次に川島報告は,スタートアップ評価における人的情報の重要性を指摘し,人的勘定を用いた開示の試案を提示している。また河瀬報告は,スタートアップによるペイアウトの開始が成熟段階への移行を示唆しており,配当の開始は自社株買いと比べて,より進展した成熟度を反映することを示している。さらに本稿は,のれん償却見直しをめぐる政策動向を踏まえ,スタートアップにおけるM&A 活用の実態を整理するとともに,会計基準変更に代わる選択肢としてNon-GAAP 指標活用の可能性を論じる。以上の考察から,財務情報と非財務情報を統合的に発信することが,スタートアップの持続的成長を支えるうえで,財務会計が果たし得る重要な役割であると結論づけている。
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