日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
ドクターヘリと救急隊が都市部で連携して良好な転帰を得た破裂性腹部大動脈瘤の1例
土屋 大介加藤 聡一郎清水 裕介田中 佑也西沢 良平吉川 慧落合 剛二持田 勇希宮国 泰彦海田 賢彦山口 芳裕
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2023 年 44 巻 4 号 p. 397-400

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抄録

症例は80歳代の男性。公共施設で腹部を押さえながら倒れたところを目撃され, 救急要請された。救急隊接触時, 傷病者はショック状態であり, 救命対応と判断した救急隊はランデブーポイントへ急行し東京都ドクターヘリと合流した。覚知からドクターヘリフライトスタッフと接触するまでに要した時間は34分だった。フライトスタッフが実施した超音波検査で破裂性腹部大動脈瘤が強く疑われ, この情報から搬送先医療機関では血管内治療に備えた受入体制が整えられた。ドクターヘリ搬送後, 緊急でステントグラフト内挿術が施行された。その後の経過は良好であり, 入院19日目に, 独歩で自宅退院した。破裂性大動脈瘤の救命には, 地域の救急診療体制および搬送中の傷病者管理が大きく影響するとされている。本事案は, 都市部で運用されるドクターヘリと救急隊の連携が, 早期収容と初期蘇生, 専門医療機関への迅速かつ安寧な搬送, および速やかな血管内治療の実施につながったことで, 良好な転帰を得たものと考えられた。

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