抄録
癌医療の目的が癌腫瘤の縮小から生存期間の延長へと変化し,さらに現在はQuality of lifeを高めることも目的のひとつとされるようになってきた。とくに余命が限定されている末期癌患者にたいしては,Quality of life尊重の思想の立場に立った医療対応が重要である。つまりチーム・アプローチを基盤とした症状のコントロールと質の高い看護である。そのためには客観性,再現性のあるQuality of lifeの評価基準を確立し,それに基づいて適正な治療法を採択するとともに,まわりの家族,職場,社会からの支持が必要となる。本稿ではQuality of lifeを意図する末期癌医療の基本的なあり方とQuality of life評価を含めた具体的実践の概要を述べる。